商標登録出願はどのタイミングでするべき?

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ビジネスを行う上では自社の商品名・サービス名などを商標登録しておくことが大切です。では、いったいどのタイミングで商標登録出願をしておくのがよいのでしょうか。

実際、「商標登録出願をどのタイミングですべきか」というお問い合わせはお客様からよく頂きます。

今日は、商標登録出願を行うべきタイミングについて説明したいと思います。

1.本来いつでも出願可能

商標は、特許や意匠とは異なり「新規性」という考え方がありません。
すなわち、商標では、「いつまでに商標登録出願をしなければ登録できない」というルールはありません。

そのため、商標は、商標を付した商品やサービスのリリース後(実際に商標を付した商品等を世の中で売り始めた後)であっても、リリース前であっても出願・登録することが可能です。実際に商品を売ってみて、その売れ行きを見てから出願することも可能です。

この点、出願前に公表することで「新規性」を失ってしまい、(特例を受けない限り)登録が受けられなくなる特許や意匠とは大きく異なります。

2.出願を行うべきタイミング

我が国の商標制度では、「先願主義」を採用しています。
原則的には、最先に出願した者が商標権を得ることができます。早い者勝ちです。

ですので、「いつ商標登録出願をするのがよいか?」というご質問を頂いたとすると、「できるだけ早い方がよい」とお答えすることになります。
ただ、「できるだけ早く」と言っても、みなさまのビジネスのステージや規模に応じて“ベストなタイミング”は変わってくると思います。

(例1)大規模に商品を売り出していきたい場合

例えば、「ある程度大きい事業規模で新商品をどんどん売り出して行こう」という事業展開をご検討中の場合があると思います。
この場合、対象の商品・サービスをリリースする前に出願を済ませておくことが好ましいでしょう。

もっと詳しく言うと、「商品名・サービス名・ロゴ(=商標)の候補が1~2個に絞られた時点」で出願しておくことが好ましいでしょう。

ある程度大きな事業規模で新商品を売り出して行く場合、商材(商品パッケージや広告など)の準備規模も大きくなります。
商材を準備してしまった後や販売を開始した後で出願して、もし「実は既に他社が商標権を持っていた」「売れ行き好調な様子を見た他社に先に出願されてしまった」という事態が起こった場合、後から商材をすべて作り替えないといけなくなるなど、余分な手間と費用がかかってしまいます。

また、この例のようなケースでは、商標の候補が1~2個に絞られた段階で、実際に出願をするに候補の商標が登録可能かを事前に調査することをさらにお勧めします。
(※事前の先行商標調査の重要性についてはまた別記事で説明する予定です)

(例2)お試しで新商品を出してみて売れ行きを見たい場合

一方、例えば「お試しで新商品を出し、売れ行きが良さそうなら増産したい」という事業展開をご検討中の場合もあると思います。
この場合も、出願はやはり早いに越したことはありません。
ですが、売れ行きが思い通りいかない場合などを考えると、あわてて費用をかけて出願するのではなく、ある程度売り上げの目途がついたタイミングで出願してもよいと思います。

なかなか一般化するのは難しいですが、判断の基準としては、「出願を先送りする(商標登録しない)ことのリスクが出願コストを上回る」と思えるようであれば、出願に踏み切られるのがよいと思います。

ただし、その場合も、遅くとも他社に先に出願されてしまう前に出願しておきたいところです。(実際、売れ行きが伸び始めると、他社も目をつけてきます)

また、この例のようなケースでも、実際に出願をするに、商標が登録可能かを事前に調査されることをお勧めします。(調べてみたら実は他人の商標権に抵触する商品名だった、という事態もあり得ます)

3.出願を先送りすることで想定されるリスク

ビジネスが軌道に乗った後も商標登録出願をしないでいる場合、以下のリスクが想定されます。

(1)他社による模倣リスクが高まる。
模倣されると、自社だけでなく顧客の利益も害されることになります。

(2)他社に先に商標権を取られてしまい、商標が使えなくなるリスクが高まる。
さらに、損害賠償を請求されたり、商品の回収、商材の変更を強いられたりする可能性も高まります。

(商標登録せずにビジネスを行うリスクについては、以下の記事もご参照ください)
「商標登録はなぜ必要?」
https://moripat.net/2020/10/07/trademark_reason/

このようなリスクがあることも考えると、やはりできるだけ早い段階で商標を出願し、権利化しておくことが望ましいですね。

4.まとめ

以上、大まかに説明してみました。

本記事のポイントのおさらいです。

・商標登録出願は、商品等のリリース後でも可能
・ただし、早いもの勝ちなのでなるだけ早く出願した方がよい。
・できるだけリリース前に出願しておくことが望ましいが、リリース後に出願する場合には他社より早く出願しておく必要がある。

商標の出願をした方がよいタイミングについて迷われるようであれば、是非弊所にご相談ください。

お問い合わせはこちらから。

ご相談をお待ちしております。

(参考記事)
「商標登録はなぜ必要?」
https://moripat.net/2020/10/07/trademark_reason/
※商標登録をせずにビジネスを行う場合のデメリットについて詳しく説明しています。併せてご参照ください。