商標登録はなぜ必要？

商標登録はしておいた方がいい？
そもそも商標登録って必要なの？なぜ必要なの？

商標登録について気になった皆様が、私たち弁理士に相談する前に一度は抱かれる疑問だと思います。

そもそも商標登録が必要かどうかも分からないのに、弁理士のところに相談には行きづらいものですよね。

そこで今日は、「商標登録は必要なのか、それはなぜか」というお話をしたいと思います。

商標登録は必要なのか。なぜ必要なのか。

皆様が商標（商品名、サービス名、ロゴ等）を使ったビジネスをご検討の場合、やはり商標登録は「必要」とお答えいたします。

その理由は、簡単に言うと「もし自分の商標を登録せずにビジネスを行った場合のデメリットが大きいため」です。

自分の商標を登録せずにビジネスを行った場合、以下のデメリットが考えられます。

デメリット①他人も自分と同じ商標を自由に使ってしまう
デメリット②後から他人に商標権を取られてしまう

以下に詳しく説明します。

商標登録せずにビジネスを行った場合のデメリット

デメリット①他人も自分と同じ商標を自由に使ってしまう

自分の商標（商品名、サービス名、ロゴ等）を商標登録していない場合、基本的には他人もその商標を自由に使うことができます。

商標権を有していなければ、他人の商標の使用を止めることはできません。（※商標が飛びぬけて有名である等の特別な事情がある場合は例外）

すると、以下のような不都合が起こってしまいます。

（１）商品やサービスの出所の混同が起こってしまう

自分も他人も同じ商品等に同じ商標（商品名等）を自由に使う状況が生まれます。
その場合、商標を見ただけでは、顧客は、あなた自身の商品やサービスと、他人の商品やサービスを区別することができなくなります（出所の混同）。
こうなると、顧客はあなたの商品・サービスを正しく選べなくなります。
あなたの商品と間違えて他人の商品・サービスが買われる可能性があります。
あなたの商品・サービスが選ばれて購入される確率が下がってしまいます。
結果的に、あなたの売り上げが下がってしまう可能性があります。

（２）商品の品質・サービスの質の誤認が起こってしまう

例えば、同じ商標を付した他人の商品があなたの商品より粗悪品である可能性もあります。
顧客にとって、同じ商標が付されていれる商品に対して当然期待する程度の品質が確保されていないことになります。
その場合、顧客の期待が裏切られることになります。
「商標を目印に購入した商品に期待した品質が保持されていない」ことで、顧客の利益も損なわれることになります。（品質誤認）

このように、商標登録をせず、自分も他人も同じ商標を使える状況になると、自分の利益も顧客の利益も損なわれるおそれがあります。

デメリット②後から他人に商標権を取られてしまう

日本では商標は先願主義を採用しています。つまり商標の出願は“早い者勝ち”です。

自分の商標（商品名、サービス名、ロゴ等）を登録せずにビジネスを行っていた場合、他人が後からその商標について出願し、商標登録を受け、商標権を取ってしまうことも可能です。（※商標が相当程度有名である等の特別事情がある場合は例外）

そのため、例えば、あなたの商標を付した商品・サービスの売れ行きが順調なのを見た他人が、あなたの商標をあなたよりも先に商標登録出願し、商標登録を受けてしまうという事態も起こり得ます。
そうなると、仮に自分の方が先に使っていたとしても、以後はその商標を基本的には自由に使えなくなってしまいます。（※登録時点で商標がかなり有名である等の特別な条件を満たす場合は例外）

商標権者である他人の許諾を得ずにその商標を使えば、その行為は商標権の侵害となってしまいます。商標権者である他人に訴えられたら負けてしまうことが予想されます。その場合、商標の使用が差止められたり、損害賠償に応じたりしなければならなくなります。その場合、商品名の変更や商材の作り直しが必要になりますし、多額の賠償金の支払いも求められてしまいます。
商品名に蓄積してきた信用や、せっかく築き上げた取引先との信頼関係も失ってしまいます。

結果的に、商標登録のためのコストよりも大きなダメージを受けてしまうおそれがあります。