意匠登録のメリット・デメリット

製品を売り始めたけど、他社がそのまま同じ形の製品を真似をして作り始めた。
見た目(外観)が同じだけど自社より低品質の模倣品が出ている。
デザインをそのままパクられてしまった。

・・・なんとかできないの?

こういったお悩みをお抱えの事業者様は多いと思います。

モノの見た目は模倣が容易な傾向があります。
苦労して作り上げた独創的なデザイン。なんとしても守りたいですね。

物(製品)のデザイン(外観)を保護するには、「意匠権」が有用です。
デザインを意匠権で保護するためには、意匠登録出願を行って意匠登録を受ける必要があります。

意匠権を取る(=意匠登録を受ける)ことによるメリット・デメリットについて大まかにお話したいと思います。

メリット

例えば意匠登録には以下のようなメリットが考えらえます。

1.他社によるコピーを防ぐことができる

意匠登録を受けると、意匠権者は、登録意匠(登録の対象となった意匠)と同一・類似の意匠を実施する権利を専有することができます。
原則として他社が登録意匠と同一・類似の意匠を実施することは意匠権侵害に該当します。
意匠登録を受けることで、他社によるデザインのコピーを防止できる効果が期待できます。

2.競合他社を牽制できる

意匠登録がなされ、意匠を記載した公報が発行されると、他社は同一・類似の意匠について出願しても登録を受けることができなくなります。他社の権利取得をけん制する効果も期待できます。

また、上記のように、登録意匠と同一・類似の意匠は、原則として他社は勝手に実施することができません。
競合他社の新製品のデザイン方針に影響を与える効果も期待できます。

3.保護期間が長い

意匠権の存続期間は、出願日から25年間です。(※2020年4月に施行された改正法による)
特許権の存続期間(出願日から20年間)と比べても長く保護されます。

4.ライセンス料が得られる可能性がある

他社が登録意匠と同一・類似の意匠の実施を希望する場合、通常、意匠権者に対し、使用の対価として実施料(ライセンス料)を支払う必要があります。
ライセンス契約を結ぶことで、ライセンス収入が期待できます。

5.ユーザに信頼される

自社の製品が意匠登録されていることで、意匠登録されていない他社製品と信用面で差をつけることができます。
他社の意匠権を侵害すうる問題が発生する可能性が低い製品であるとしてユーザ様に選ばれることもあり、ユーザ様に安心して選んでもらえます。
自社の営業マンも自信をもって製品を勧められます。

6.出願から登録までの期間が比較的短く、必要費用も比較的少ない

意匠は、出願から登録までに要する期間が6~8か月程度であり、特許(数年かかる場合がある)や商標(1年近くかかることが多い)と比べて短いです。
そのため、意匠は比較的早期の権利化が期待できる法域と言えます。審査期間が短い分、権利化後の保護期間が長く確保されるメリットも期待できます。

また、意匠出願は、特許出願と比べて出願書類の作成負荷が小さい場合が多く、出願1件あたりに要する弁理士費用も特許出願の1/4~1/2程度に収まるケースが多いです。

デメリット

一方、意匠登録には以下のようなデメリットもあります。

1.権利取得に時間と費用がかかる

出願~登録までにある程度の費用と期間が必要です。
ただし、上記の通り、特許などと比べると期間が短く済む場合が多いですし、費用も少なく済む場合が多いです。
模倣品が出回っても何も打つ手がないという困った事態に陥るリスク等を考慮すれば、費用をかけて登録する価値もあるといえそうです。
自社の方針に合わせてご検討ください。

2.権利範囲が狭い?

登録意匠の同一・類似範囲は狭いと言われる場合があります。
デザインを多少変更するだけで権利範囲外となる場合も無いとは言えません。

ただし、部分意匠制度(物品の一部分の意匠について登録する制度)、関連意匠制度(出願から一定期間の間、類似する改良意匠を登録できる制度)など、意匠制度特有の制度を利用して多面的に意匠を保護することで、広い権利範囲、強い権利(権利群)を作ることもできます。

出願戦略を工夫することで、弱点を減らし、保護の可能性を広げることができると考えます。
意匠の保護戦略のご相談は是非当所にお寄せください。

以上、非常に大まかに説明してみました。
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